プラトニック ラブ

貴方に夢中



「2年前の俺はお前の事をゆっくり考える暇がないくらい、仕事三昧の日々を送っていた。結果、悲しませていた。……ごめん」

「そんな事ない。セイくんはテレビに向けてエスマークを作ってメッセージを送り続けていてくれたし」



私は知ってる。
彼は私がいないところでも見えないところでも、特別なメッセージを送り続けていた。
もしかしたら、自分でも無意識のうちにエスマークを作っていた可能性もある。


でも、身体に浸み込んでしまうくらいエスマークを作っていてくれたのは、私の事を考える時間を多く持っていてくれた証拠。



だから、貴方に夢中だ。



「もっと他に何かしてやれる事があったんじゃないかって、後で思った。それに、あの時の俺は何もかもが不足していた。分刻みの忙しさに追われていた東京を離れ、アメリカの広大な地でぼんやりと空を見上げた時、自分がここまで来れたのは、多くの人に支えてもらえたお陰だなって気付いたんだ


でも、人から助けてもらうばかりじゃなくて、自分がもっと努力を重ねて、独り立ちが出来るようになって、一人前として成功する事が出来たら、もう一度お前のところに会いに行こうと思ってた」

「セイくん……」


「…なぁんて、カッコいい事を言って現れたかったけど…、実は俺をここに連れて来てくれたのは、冴木さんなんだ」

「えっ!あの冴木さんが?」



セイの口から冴木の名が挙がると、紗南は急に胸がドキッとした。

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