プラトニック ラブ

聞き耳を立てていた冴木



「ふぅん……。でも、俺はお前が一般人と付き合うなんて反対」

「何で?」


「だって、いつ暴走するかわかんねぇし。恋愛絶頂期はいいけど、別れたらスキャンダルとしてマスコミにタレ込むかもよ?多額の金銭目的でさ」



紗南の事など話でしか知らないジュンは、セイを心配するあまり厳しい現実を突きつけた。
すると、セイは腹立たしさを露わにする。



「バーカ。あいつはお前が勝手に思い込んでるような悪い子じゃない」

「だからお前は手の内が甘いんだよ。ある事ない事言い広げて、お前が知らないうちに偽記事が完成しちゃうかもよ。一般人の女ってのはな、過去にお前が付き合ってきた節度をわきまえられる女性芸能人とは違う」


「はぁっ?お前⋯⋯紗南は節度をわきまえられないって言ってんのかよ」

「そこまで言ってねーし。後でマスコミの餌食になっても知らねぇからな」



ジュンは吐き捨てるようにそう言い、不機嫌な足取りで楽屋を後にした。






ジュンはセイの交際に反対だ。


いまKGKとして活動が順調なだけに、セイがスキャンダル騒動を起こしたら、自分にまで飛び火を食らってしまう。

しかし、それ以上に5年という長い歳月と共に仲間として深い友情を抱いているせいか、最終的にセイがこの恋愛で深く傷付いてしまわないかをとても心配している。







一方、2人の会話を壁1枚挟んで聞いていた冴木は、セイの恋愛本気度に頭を抱えていた。


最初は楽屋でコソコソ恋愛話をする程度だったが、いつしか慣れが油断を招き、人影がなくなったと同時に話をするようになった。



冴木はセイの口から紗南の名前を何度か耳にしているうちに、紗南への警戒心が増していた。

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