プラトニック ラブ

今の自分に必要な力



「よっしゃーー!!⋯⋯⋯なぁ、セイ!当然アメリカに行くよな!俺らが憧れていたマイケルの元で個人レッスンを受けれるんだなんて。今後、これ以上のチャンスはないよな。やっぱり神様は俺らの事を見放してなかったよな」

「あ……、あぁ……」



隣からハイテンションでガバッと肩組みしてきたジュン。
勤務後とは思えないほど興奮している。





ーー半年前。

それは、紗南とまだ再会する前の事だった。



5大ドームツアーの成功を収め、大舞台に立つエンターテイナーの一員として更なる活躍に向け、今後のあり方について冴木さんと3人で話し合った。

その際、今の自分達は何が不足しているかという話になり、俺とジュンは声を揃えてダンスと答えた。



アイドルが歌声一本だけで勝負するなど、厳しい現実。



いま売れていても、その後のヒット曲に恵まれなければ、毎月のようにわんさか生まれている新人歌手に席が奪われ、世間の記憶が上書きされていき、最悪忘れ去られてしまうというパターンが待ち構えている。



歌は実力勝負の競争社会。


その上、芸能界というところはピラミッド形式の厳しい縦社会だ。

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