プラトニック ラブ

女好きの1面



「やるじゃん、お前の兄貴。…で、その普通科の女って兄貴の彼女なの?」

「んな訳ねぇだろ~」



一橋は親友 佐川と2人で堂々と毒舌トークを繰り広げている。


この2人は普段から女の話ばかり。
入学早々、丸1日学校に滞在した事がない自分ですらそう思う。



「ね、どんな女だった?普通科の女だから、どうせ分厚いレンズ眼鏡のガリ勉ちゃんでしょ」

「んー、地味で脇役女優レベルって感じ。…ってかさぁ、あんなところに美人なんて居る訳ねぇだろ。普通科なんて所詮イモ畑。俺らは常に美しい華しか見てねぇんだからよ」



事件当日まで記憶を蘇らせた一橋は、一瞬だけ目にした紗南を見下したようにケタケタと嘲笑う。

一橋はモデルという職業柄、美を追求するあまりに容姿1つで人を判断してしまう一面がある。



「ははっ…、きちぃーっ。お前ブスは相手にしない主義だもんな」

「ブスは一般人の男でも相手してりゃーいいの。でさぁ、兄貴はその地味女の家庭教師をしてるんだけど、そいつは医大目指してるんだってよ。女ってさ、カタすぎるとつまんないよね~」



医大…。
そして、家庭教師。

ビンゴがリーチに差し掛かると拳に汗が滲み出した。
今はただひたすら渦中の人物が紗南ではない事を願っている。

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