一夜限りの旦那様、身籠りましたがお構いなく。
それでもメナード皇后を離縁できなかったのは、メナード皇后がサウザー帝国の皇女だったからだろう。
サウザー帝国はカルトナー帝国の東側に位置しているが、カルトナー帝国が荒れ果てている間に勢力を拡大し、今や大陸の支配者と言っても過言ではない。もしもめごとをおこせばカルトナーはサウザーに勝つことはほぼ不可能だといえた。
メナード皇后を排除することはサウザーへの背信行為と取られてしまう。
ガーリア皇帝は苦々しい思いをしながらもメナード皇后とヒーリー公爵を野放しにするしかなかったのだ。

オリヴィアの父であるノックス公爵は、後ろ盾のないアドルフの後ろ盾として皇帝から望まれ、オリヴィアを婚約者にする形で後ろ盾を買って出て、真っ向からメナード皇后とヒーリー公爵と対立することとなった。
ノックス公爵家にはそれだけの信用と財力があったのだ。だが…。触手は後ろで蠢いており、ノックス公爵は知らぬ間にメナードとヒーリーの網にかかっていたことに気づけなかった。

皇帝への謀反罪を押し付けられたのだ。

その当時サウザーとの国境で小競り合いを起こしていた少数民族があったのだが、その民族に領地を分け与えるという口約束をして買収したメナード皇后とヒーリー公爵はその民族を帝都カルトに押し寄せさせて暴動を起こさせた。
そしてつかまった首長はノックスの命令でやったと答えたのだ。

ノックス公爵にとっては寝耳に水の話でしかない。
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