国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
1.6年後
「オリヴィア。いい加減働きすぎよ。少し休まなきゃあなたの身体がつぶれてしまうわ」

今日は、身体の2か所に悪気が溜まっている特殊な状況の患者に手間取ってしまった。
治療師をはじめてもう1年になるが、なかなか難しいものだ。
いつもより少し遅くなってしまった。

「ごめんなさい。アンネ叔母様。ノアは?」

「寝ているわ。あなたの分の夕食も作っておいたからあとで食べなさい」

アンネの夫が運んできてくれた黒髪の小さな天使はすやすやとかわいらしい寝顔を浮かべている。

その天使、ノアを見ると今日の疲れなどすべてぶっとんでしまう。

「ありがとう。叔父様」

オリヴィアはその小さな天使を受け取ると、アンネがわたしてくれた大きな籠を空いているほうの腕にかけてもらった。

「いつもごめんなさい。助かります」

「いいのよ。あなたはライラねえさまの忘れ形見なのだから、いつでも頼って頂戴」

「ありがとう」

オリヴィアはその大きな農家の母屋を出ると庭の隅に位置する小さな離れに小さな天使を抱いて入っていき、天使は2つしかない部屋の小さな部屋に置かれた清潔なベッドの上に静かに寝かせた。

「ノア。今日も楽しかった?」

天使はすやすやと寝息を立てており答えるわけもなかったが、オリヴィアは構わず話しかける。
そして額にやさしくキスするとその小さな寝室を出て、オリヴィアは椅子にこしかけ一息ついた。

「ふぅーっ…」
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