溺れるくらいの恋を…君に
自宅マンションに帰り着き、ベッドルームに向かう。
眠っている百合愛を、組み敷いた。

百合愛の服は脱がせて、今は水瀬のスウエットを着ている百合愛。
それでも、冬臣の香水の匂いが纏わりついているような気がした。


嫉妬で、頭がおかしくなりそうだ━━━━━━


何故嫉妬心は、こんなに人を狂わせるのだろう。

冬臣の狂おしい想いは、わかるような気がする。
逆なら、俺はどうしただろう。

同じことをしたかもしれない。


「百合愛、百合愛!」
水瀬は、百合愛を揺すり起こす。

「ん…水瀬…く…」
「ごめん、起こして…」

「ううん…」
「今から抱いていい?」

「え?
でも、今は眠い……」

「ん…ごめん。
言葉間違えた。
抱かせて?
いや、抱くから!」
「え━━━━━ちょっ…水瀬く━━━━━」

食らいつくように、百合愛の口唇に吸い付いた。

「や……水瀬、く…待っ…お願……」
抵抗する百合愛を、無理矢理ベッドに押しつけスウエットを捲り上げた。

最低な行為だとわかっていた━━━━━

でももう……狂ってしまったように、理性が効かず止まらない。


結局、明け方まで抱き潰してしまった水瀬。

外が明るくなってやっと、自分の行為の卑劣さを思い知っていた。
「ごめん、百合愛。
ごめん、ごめんな、ごめん……」
ただ謝ることしか出来ない自分が、情けなくて歯痒い。

「こんなの、百合愛の元彼と同類だよな……」

ベッド上で、土下座をする勢いの水瀬。

百合愛は、ゆっくり起き上がり水瀬に抱きついた。

「え?百合…愛…?」

「大丈夫。
私は、水瀬くんが“最高な彼”だって知ってる。
だから、謝らないで?」

「百合愛…」

「水瀬くん、好き、好き、大好きだよ……!」


「百合愛…百合愛…
俺も、大好き……!」
水瀬も抱き締め返すのだった。
< 34 / 40 >

この作品をシェア

pagetop