溺れるくらいの恋を…君に
予約
あれからまた、水瀬に包まれるようにして眠りついた百合愛。

朝起きると、水瀬は既に起きていて百合愛を見つめていた。
「おはよ!」
「あ…////お、お、おはよう/////」

「百合愛って、ほんと可愛いのな!
朝からヤらしい気分になる(笑)////」

朝から水瀬にからかわれ、なんとか起きた百合愛。

豪華なルームサービスの朝食を食べ、着替えの服をプレゼントさせてと言われ、いつの間にか部屋に届いていて着替えさせられた。

「ねぇ、この服…スッゴく高いよね?
悪いよ……」
「言ったよな?
溺れさせてやるって!
百合愛には、何でもしてあげたいんだ。
だから、気持ち良く貰ってよ?」

ここまで言われてしまうと、断るのは失礼だろう。
「………うん。水瀬くん、ありがとう!
大切に着るね!」

百合愛は微笑み、お礼を言うのだった。


車で会社前まで送ってもらい、名残惜しく降りようとする百合愛。

「百合愛」
「ん?」

「左手、出して」
「え?うん」
左手を出すと、綺麗な指輪が薬指についた。

「予約!」

「え?」

「百合愛、俺はね。
百合愛と一生一緒にいるつもりだから!
もちろん、プロポーズはちゃんとする。
でもこれは、百合愛に“安心”を与えてあげたくて。
俺は、百合愛を幸せにしたい。
ずっと辛い思いをしてきた百合愛に、俺は大切にするよっていう約束と、百合愛は俺のモノっていう証と、近い将来…俺に全部ちょうだいっていう予約!」

水瀬の左手の薬指にも、同じ指輪が光っていた。

「………っ…」
百合愛は、言葉にならなかった。

あっという間に目が潤んで、涙が溢れていた。

「フフ…ほら、早く行かないと遅れるよ!」
親指で目元をなぞり涙を拭ってくれる水瀬に、百合愛は頷き頬にキスをした。

「え…/////」
不意打ちの百合愛からのキスに、さすがの水瀬も顔を赤くする。

“ありがとう”と言いたかった。
でも、あまりの感動に言葉がでなくてキスをしたのだ。
百合愛は、手を小さく振り今度こそ車を降りた。

車が見えなくなるまで見送り、会社に入ったのだった。
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