Never Forget You
11.生と死の狭間で
10月に入り、最終戦まであと約2週間。

最終戦の頃には私も妊娠5ヶ月くらいに…

そーちゃんの隣に…立ちたいけど。

無理かな…

でも、三つ子とはいえ、お腹がそれほど出ている訳ではない。

一人一人の体重が一人を産む時に比べて少なくなって、母親のお腹はそれほど変わらないとの事で。



彩子さんが用意してくれたロリータ服を着てみる。

…うん、大丈夫。

お腹は上手く隠れる。

今はね。



「ママ、かわいい!!」

つい先日、3歳になった睦海は手を叩いて喜んでくれた。

「ありがとー!!」

思わず、睦海を抱きしめる。



「ただいま」

そーちゃんが帰ってきた!!

げっ…

今日、なんで8時に帰ってくるの!!

いつもなら9時くらいなのに〜!!

「…何してるの?」

怪訝そうに私を見つめる。

「何って…?
次の衣裳…なんだけど」

「もう!やめな!!」

そーちゃんが怒る。

「またお腹が張ったらどうするの?」

「あれ以降は張ってないから〜」

手を合わせてお願い、のポーズをする。

「彩子さんも、ピットウォークは避けて、とにかくスタートの時だけ、横に立ったら?って…」

そーちゃんは頬を掻いて、ため息をつく。

「…ホント、それだけにしてよ?
少しでもおかしかったら絶対に止めろよ?」

…やった!!

そーちゃんが折れた。

思わずそーちゃんに抱きつくと足元から

「ラブラブね〜」

と言う声が聞こえて。

ゆっくり下を向くと睦海がニコニコ笑って上を見上げていた。
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