ポケットにあの日をしまって
俺は咄嗟に答えたものの、何をどう労ってやればいいのか全くわからなかった。

5月末には、入院している母のリハビリも始まった。

たかが骨折と思っていたが、けっこうたいへんそうだ。

小鳥遊は遅刻して3時間目頃に出てきたり、早引きで午後からの授業を受けずに帰ったり、欠席したりしていた。

授業中に気分が悪くなり、保健室に行くこともあった。

体調不良や治療のための通院に違いないのだけれど、何も知らない連中はそんなことを考えもしない。

陰口を叩く奴や「付き合いが悪い」とふて腐れる奴が増えた。

登校してきて間もない頃は、授業のノートを見せてやっていた奴らも、最近はやめてしまったみたいだ。

小鳥遊はクラスの間で日を追うごと、孤立していくように見えた。

彼女が病気のことを何も話さず、いつも明るく平然としているからだと思う。
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