ポケットにあの日をしまって
5 ツーショット

蒼司side 返事は?

10月初旬。

試合の日は土曜日、快晴で涼しかった。

俺は試合日和だなと、背伸びをしながら観覧席を見渡した。

日傘をさしてサッカー観戦している高校生が、小鳥遊だと気づいて、つい「あはは」と声に出して笑った。

小鳥遊はメガホンを持ったり、ポンポンを振ったりしている女子の集団から、数メートル距離をとって座っていた。

コートに向かいながら小鳥遊に向かって、手を振ったが、歓声をあげたのは女子集団だった。

小鳥遊は顔の前で小さく手を振った。

よし!と気合いを入れて、試合に挑む。

対戦相手はインターハイ常連で、超高校生級の選手がチームの半数を占める強豪校だ。

俺たちチームは彼らに比べたら、少年サッカーチームに毛が生えたようなものだと、先輩が言っていた。

ミーティングでの指示は、ムーピンクフットボールとカウンターアタックを意識する作戦だ。
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