ポケットにあの日をしまって
着替えをしていると、リュックの中でスマホが鳴った。

小鳥遊からの着信だと、着信音の個別設定「アーメイジングレイス」でわかった。

さっき撮った写真を送ってくれたんだろうと思った。

「仁科、スマホ鳴ってるぞ」

キャプテンに言われて、「たぶん急ぎではないんで、大丈夫です」と答えた。

「お前の着信音、『アイーダ』じゃなかったか?」

「えっと……」

「おいおい、彼女か?」

「そ、そういうんじゃまだないんで」

「照れるな、照れるな」

キャプテンに煽られて、体がカーッと耳まで熱くなった。
< 41 / 46 >

この作品をシェア

pagetop