ポケットにあの日をしまって
「小鳥遊さん。こっちに来て、一緒に応援しない?」

応援団の女子に誘われて、日傘を閉じて、応援団に混じって応援した。

仁科くんがゴールに向かって、ボールを蹴った時は思わず立ち上がっていた。

試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、高々と腕を挙げた仁科くんの雄叫びと、突き抜けるような笑顔。

感動して、いつまでもその余韻に浸っていたいと思った。

観覧席でコートを眺めていると、今しがたの試合で、コートの中を走り回る姿や応援団の歓声が頭の中で再現された。

勝ったんだ、本当に勝ったんだーーと実感した。

仁科くんがユニホーム姿のまま、観覧席に戻ってきた時は、嬉し過ぎて「やったね」としか、言葉が出なかった。

仁科くんが試合に勝っても負けても、返事はOKだと決めていた。

その辺りを色々、聞かれたら答える自信がなくて「写真撮ろうよ。ツーショット」と言ってみた。
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