【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
この発言は自分なりの先制であり、周囲への牽制でもあった。
わたしが王太子妃や王妃に相応しくない身分だとか、騎士など令嬢に相応しくない振る舞いだとか、様々な難癖をつける人間に対しての。
なにも言わないしなにもしないのならば、言われっぱなしでも仕方ない。
けれど、わたしはエストアール家の娘だ。
わたし自身はともかく、お父様やお母様……ましてや、アスター王子までもが侮辱されっぱなしで黙ってはいられない。
わたしはわたしの大切な人たちを護るために、戦う。そう決意をしたんだ。
わたしがきっぱりと自分の意思を告げると、一瞬だけ目を見開かれた国王陛下は次ににやりと含みのある笑みを浮かべられた。
「そうか……ミリュエールよ、そなたからは婚約は破棄せぬと申すのだな?」
「はい。この剣と、天地に誓って」
ブラックドラゴンから授けられた短剣を床に置き、両手を床に着いたまま頭を深々と下げた。騎士が誓約を立てるときの簡易的な動作だ。
誓約を破れば、目の前に置いた剣で斬られてもよい……との意味がある。
「ふむ……わかった。ミリュエールよ、そなたの誓い、確かにしかと受け止めた。アスターよ」
次に国王陛下は息子の名前を呼び、彼が「はい」と膝をついたまま答えると、二重の意味で驚きの発言をされた。
「まだ内々の話ではあるが、わしはそなたを次期国王たる王太子に指名するつもりだ。ミリュエールが妃という前提ではあるが……マリアを女王にという声もあり、一考したが…あやつはフランクスを婚約者に、と熱望しておるでな」