捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?

「……ミリュエールよ……そなた、もうアスター兄上と経験済みなのか!?」

マリア王女が驚愕の表情で訊ねてくるけれども……はて? 経験??なんの経験だろう?
さっきの話の流れからすると、おそらくは裸で抱き合ったことだよね?

「……はい、お恥ずかしい話ですが……あ、でも!わたしは望んでではありませんからね!アスター王子が寝ぼけて強引に……ですから!」
「まあ……ミリュエールさんの同意なしにアスター兄上が無理やり、ですの?それはよろしくありませんわ」

ユリネ王女様がなぜかそこに食いつき、なんだか背後にゆらりと黒いものが立ち昇った気がする。

「いくら愛しい婚約者とはいえ、女性を強引に御自分のモノになさるのは……紳士の風上にも置けないですわ……お仕置きか必要なのではなくて?」

ユリネ王女の微笑みが……なんだか背筋が凍るほど怖い。ゴゴゴ……と地鳴りのような音が聞こえる気がする。なんだかアスター王子に色んな危機が迫ってるような……。

「ユリネ殿下、わたしにまでご配慮くださりありがとうございます。大丈夫ですよ!アスター王子はわたしが窓から放り投げて置きましたから。素っ裸で全力疾走してましたから、少しは反省したんじゃないですか?」

わたしがそう明かせば、最初はぽかんとしていたソフィア様が、少し経ってから小さくクスッと笑われた。

「アルベルト殿下から騎士宿舎に出没する変質者の話はお聞きしましたが……アスター殿下でしたのね」
「さすがミリュエールじゃな!わらわを救うだけあり、腕っぷしの良さは保証できるぞ」

マリア王女もその話に乗っかり、愉快そうに笑う。
その後、和やかな雰囲気でお茶会は進み、皆様との親睦を深める事ができた。

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