捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
従騎士ミリィの1日



深い眠りから覚醒すると、やたらと暑い。ううん、これは熱い方だ。背中に感じる固い感触と脇からお腹に感じるこの重みは……。

ぐりん、と首だけ動かして後ろを見れば、案の定目の前には見目麗しき王子様のアップ。

吸い込まれそうな淡いアイスブルーの瞳はしっかり閉じられていて、男性にしては長いまつげが影を落とす。スッと通った高い鼻梁に少し開いた薄い唇からすうすうと平和な寝息。短めのプラチナブロンドは目に少しかかるくらいに乱れていて、なるほど。王子の中では抜群の美貌を誇るのも納得できる。

顔はそんなふうに美女もかくやな美形なのに、騎士として常日頃鍛錬を重ねた体は線が細く見えてもしっかりとしなやかで強靭な筋肉に包まれている。それはありがたくないことに、今ここで確認出来るんですけどね。

わたし…騎士を目指す従騎士であるミリュエール・フォン・エストアール15歳の上司である、アスター・フォン・ゼイレーム第3王子21歳。

近衛騎士として有望かつ、英雄と呼ばれるはずの彼はわたしが仕える王子であり、騎士……のはずなんだけど!

視線をゆっくり下げれば、アスター王子のむき出しの肩が見えて……そして、何も身にまとわないままの見事な御身体が視界に入り、こちらの体をしっかり抱きしめる王子の腕を認めた瞬間ーーわたしは叫んだ。

「ぎゃあああ!アスター王子、なんでまた裸なんですか!なんでまたぼくのベッドにいるんですか!!変態ーー!!!」

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