【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?

「マリア殿下、エストアールさんの言うとおりですよ。王女殿下であられるならば、まずはなすべき事をなさるべきです」

パグウェル司祭様がわたしの援護をして下さったからか、つんとそっぽを向いていたマリア王女も渋々椅子から降りた。

「……パグウェルまでそう言うなら、仕方ないのう……これ、ミリュエール。わらわを部屋まで護衛せよ」
「……はい」

どうやらマリア王女はパグウェル司祭様を深く慕っている様子。ここに潜めるくらい部屋に慣れている様子だったし、きっと何度もやって来ているんだろう。 彼の諭しが通じてよかった。やっぱり兄のレスター王子と違い、わがままでも道理は通じる。

それでもやっぱり、人を好きに使おうというところが似てるけど。

でも、一点気になる事があってわたしはマリア王女に訊ねた。

「マリア王女殿下、先ほどお聞きになられたドラゴンやフィアーナに関するお話ですが」
「安心せい。わらわだとて国家機密になりそうな大事をペラペラ喋るつもりはない。どこぞの愚かな兄王子だったら針小棒大に得意げな顔で吹聴して回るだろうがな」

さすが、マリア王女。兄王子の性格をよく把握してらっしゃるし、遥かに聡明だ。

「ありがとうございます」
「ふん。同じ年頃の娘たちは人形遊びだのなんだのと幼すぎるからの。わらわにとってはパグウェル司祭と話しておった方が学びがある。王女たる者ならば、知らぬことがあれば恥じゃ。通常の王女に必要な教養なぞ8つまでにすべて終わらせた。後は退屈な花嫁修業だぞ!わらわには地獄じゃ!!」

マリア王女にも鬱憤が溜まっていたらしく、愚痴られましたよ。

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