出逢うべくして。You’re the one for me...


「....実は...さ、ライブ凛花さんに来てもらいたくて...
チケット取ってるんだ。...来てくれる?」


伊吹くんが心配そうな目で私を見ている。



ライブに行きたい気持ちはとてもある。

けど...



ファンの皆が応募して、願って願ってそれでも当たらなくて
行けない人もいる、そんな大事な権利を
いとも簡単に手に入れてしまって良いのだろうか。


私が行くことでずっと応援してきたのに行けなかった誰かが
存在しているのではと思うと心が痛い。




どうしよう。


と、考えて黙っていると



それは伊吹くんに伝わっているようで




「関係者席で普通の席ではないから元々確保されてる席でね、ちょっと見にくいかもなんだけど。お仕事関係者も含まれるから女の人も結構いるし。
...て。そういうこと心配してくれてるんでしょ?」



「ん、私が行くことで本当は見れたかもしれないファンの方が
1人行けないってことだよね?...」


「違う違う!このエリアは凛花さんが来てくれても来てくれなくてもいっぱいにはならないし、空いてるからってファンの人に回す訳ではないんだよ。だからそこは心配しないでね。」



「単純に、俺が頑張ってるところを見て欲しいな的な?笑
だめかな?」




「ううん、それじゃあ行ってもいい??」


「ぜひ!!これでもっと頑張れちゃう笑
一応2枚渡しておくね。咲さんとか誘ってくれても良いし
余らせても良いから。」



「わかった!ありがとう!」






嬉しそうにダンスシューズを何度も見ている伊吹くんをお皿を片付けながら見つめた。



誕生日をお祝いできて良かった。
また来年も一緒にお祝いできますように。


そう願って。
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