可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 そして、パンと手をひとつ叩いた。
「さ、もう行くわよ。飛行機の時間に間に合わなくなるから」

 そして、宗介さんにティッシュを渡し「それ、ちゃんと落として」と言う。

 あ、口紅。
 わ、キスしてたの、バレバレだったってことか。

「橋本さん、あなたも会場に戻る前に、口紅直したほうがいいわよ」

「は、はい」

 宗介さんはドアに手をかけ、「後で電話するよ」と言うと、手を振った。

 彼らが出ていった後、わたしは放心状態でしばらくそこにあった椅子に腰をかけていた。

 まだ、降って湧いたような嬉しすぎる出来事に、気持ちが追いついていない。

 宗介さんと同じマンションで暮らす。そして、入籍。

 大声で叫びたくなるほどの喜びに浸りながら、ようやく立ち上がり、会場に戻った。
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