もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
「あんたってどうして太らないの」
「わかんないっ!体質かな!」
「…ほんと、人生楽しそうでいいわね」
昼食はおかわり常習犯で、ナイフとフォークより箸派。
執事である早瀬(はやせ)さんは微笑んで追加させているとしても。
もう1度言っておくけど、この聖スタリーナ女学院の校則は、上品かつおしとやか。
「ちなみにエマお嬢様、“おかわりください”はイタリア語で“Vorrei fare il bis”といいます」
「ヴぉ、ヴぉれ…ふぁーい……びす…?」
「ふっ、よくできました」
「いや全然できてなかった!!やっぱりむりだよイタリア語なんかっ」
そんな校則とはかけ離れた性格をしているエマは、一言でいえば子供っぽくてバカ。
花瓶を割ったり猫を連れ込んだり、どうにも聖スタリーナ女学院の“破壊神で疫病神”なんて異名がついてるらしいけれど。
私は彼女のことをすごく特殊だと思っている。
でも“特殊”な理由はそこだけではなく、実はたくさんあって。