もっと求めて、欲しがって、お嬢様。




「……俺だ、」


「っ…!!」



待ち受け画面だった。

さすがに自分の顔が写っていれば、誰だとしても反応してしまうものだ。


それは前に撮ったマヌケ顔。

ツーショットのほうにしようか悩んだ結果、どこか恥ずかしくなって碇単体の1枚に設定していた。



「ちっ、ちがうのよっ、これはちょうど良かったから…!」


「…ちょうど、よかったんですか」


「そっ、そーよ!!別に毎日あなたの顔を見て元気だしてるとかっ、そーいうのじゃないんだからっっ」


「……理沙お嬢様、それは狙って言っているのですか…?」


「狙ってるってなにをよ…っ!」



黙ってしまった碇。

どこか緊張を生んでくる空気に変わってしまって、キッと睨むと優しい微笑みが返される。



「てっ、手当てするから…!」


「…はい、お願いします」



こんなことしてる場合じゃない。

赤く染まる顔を冷ますように、ガーゼを傷口にそっと当てた。



「…俺、すごく嬉しかったです」


「…なにがよ」


「佐野に言ってくれたこと」



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