このキョーダイ、じつはワケありでして。




両親にも気づかれないように朝日が顔を出したらまた出ていくつもりだ。

こういうことは気分が向いたときに何回かしていて、そのたびに起きるとなぜか俺のお腹には必ずブランケットがかけられていた。



『にいちゃん、死んでるの?』


『…………』



久々に帰宅した兄に対しての第一声としてそれはどうかと思うよ。

てか、なんで起きてんのこいつ。
いま何時だと思ってんだよ。



『なるみにいちゃん、息してる?』



さすが俺の妹だ、と。

よくわかんないけど実感した。
血の繋がり以上のつながりを感じた。



『…………』



パサッと、腹部にかけられたブランケット。

こいつだったのかと、どう反応すればいいか迷ったから死んだふり。



『お水のむ?』


『…………』


『ケガしてるの?ケンカしたの?ヒトひいたの?』


『…………』



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