このキョーダイ、じつはワケありでして。
「四宮!」
「…天瀬」
そして今度は、息を切らしたクラスメイトに呼びかけられる。
天瀬が急ぐなんて珍しい。
もしかして私を探してた…?という期待は、期待のまま箱にしまって2度と出てこないよう鍵までかけてやる。
「あいつに何かされてない?」
「あいつ?」
「…緒方」
天瀬も天瀬だ。
仲は絶望的そうなのに、自らたくさんその名前を呼んでしまっている。
「平気だよ」
「…もうそーいうのやめれば?」
「そーいうの…?」
「あいつなんかのために四宮が休み時間つぶす必要ないだろ。無視ればいい。それで何か言われたら俺が出る」
だからどうして天瀬が出るの、出てくれるの。
ある意味これは私の問題だし、こんな言い方はしたくないけどあの先輩と私の関係に対しては天瀬は関係がない。
嫌っているなら尚更、自分から近寄るようなことしないほうがいいと思う。