このキョーダイ、じつはワケありでして。




「やめてくださいよ痴漢なんか」


「っ、冤罪(えんざい)だぞ…!俺はやってない…!!」


「この機に及んで言い訳とか見苦しいですよ。私は見てたし、あなたが狙った女の子はこの子で間違いないでしょ」


「ぐっ…」



車内を混乱させないためにも男が降りたタイミングで私たちも続いて、ホームにて腕をしっかり掴む。

咲良はそこまでしなくていいって怖じ気づいてたけれど、そこまでしなきゃダメなんだよこーいうのは。


またいずれ被害者を生むだけなんだから。



「離せ小娘が…!おまえみたいなガキとは違って俺は社会人なんだぞ!!」


「咲良、駅員呼んできて」


「えっ、でも…」


「いいから」



この様子だと長引きそうだし、どちらにしろ部活は咲良と一緒に遅刻確定。

だからって部活を優先させて大切な幼なじみを守れないほうがありえない。


とりあえず咲良に駅員を呼ばせにいって、私といえばこいつに痴漢を認めさせること全集中だ。



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