このキョーダイ、じつはワケありでして。
「これ寝癖どうなってんの??」
「……知らん」
「ヤバいってさすがに。どんな寝方したらこんなオブジェが完成されるんだよ」
短いからピンピン跳ねて困ってる。
水でも付けておけば大丈夫だと言い張りたい。
────カシャッ。
そしてなぜかカメラのシャッター音と、してやったと言わんばかりの兄の顔。
「…なにしてるのにいちゃん」
「おまえとの写真、これからたくさん撮っていこうってのは建前で。このアホ面を愉快なお友達たちに見せてやろうと思ってさ」
と言いつつも、咲良にすら見せたことがない兄ちゃんの写真フォルダ。
今ではリビングにフォトフレームが飾られていた。
家族4人が写ったものから2人で最近撮ったものまで、たくさん。
「…にしても慶ちゃん。胴着まだアレ使ってんの?」
「うん。触りたくないからって誰も組み手してくれない」
「はー、落とせるとこまで沙織さんに落としてもらったってのに。ひどい連中だ」
「でもたまに男女合同のときは天瀬がしてくれるから平気だよ」