後宮の花は死んで前世を思い出したので自由に生きます

合コンの後に……

藤咲葵(ふじさきあおい)は今日も合コンに勝負を挑む! 
せっかく女と生まれてそれなりの容姿があるのだ! しないでどうする!
というかぶっちゃけ、彼氏が欲しい! 
周りの友達は大学に入り次々彼氏を作っている。
決して見た目が悪いわけではないのに、葵にはこれまで彼氏ができた事がなかった。
「どういう事なのよ!」
今日も惨敗した合コンの帰りにコンビニに寄って、缶ビールを大量に買い、一人公園でヤケ酒をする。
「藤咲さんは可愛いけど……なんかがっついてて怖いんだよね~」
今日狙っていた男に言われたセリフを思い出し、葵は缶ビールを握りつぶした。
「あの野郎……あんな事言われるくらいなら、一発お見舞いしてやればよかった……」
葵は中学・高校と空手に明け暮れていたため男に縁がなかった。
――ブンッ!
怒りのあまりに突き出した拳が空を切る。この拳をあのニヤけた男の頬にぶち込んでやれば、どんなに気持ちよかったか……
こんな事を思っているから彼氏が出来ないのだろう。
「くそー!」
葵はさらに缶ビールを開けるとゴクゴクと飲み干した!
その後もビールを飲み、そろそろ帰ろうかと立ち上がる。すると、ふらつき足がもつれた。
支えようにも何もなく、葵は後ろにひっくり返る。
「きゃあ!」
後ろには三十センチ程の円形の噴水があった。お察しの通り葵はそこに頭からダイブする。
「ごぼぼぼ!!」
暴れて起き上がろうとするのに全然起き上がれない!
暴れれば暴れるほど水が口に入りパニックになる。
(な、なんで!!)
この時、葵の肩からかけるバックの紐が運悪く噴水の留め具に引っかかっていた。
水の中でそんな事がわかるはずもなく……葵は徐々に意識が遠くなる。
水の中ですぐ上にある水面にあと数センチ届かない……
上にはそんな葵を笑うかのように綺麗な月が見下ろしていた。
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