乳房星(たらちねぼし)〜再出発版

【ひこうき雲】

時は、アイスランド時間10月13日の朝10時頃であった。

3人が乗っている専用機がレイキャヴィークケフラヴィーク国際空港に到着した。

専用機から降りた3人は、マイクロバスに乗って大番頭《おおばんと》はんたちが待っているハットルグリムス教会へ向かった。

それから80分後…

3人が乗っているマイクロバスがハットルグリムス教会の敷地に到着した。

ハットルグリムス教会の名前の由来は、アイスランドを代表する詩人で聖職者のハットルグリムルピアトルソンから命名された。

1945年に建設開始…

それから41年の時を経て1986年に完成した。

教会は、ルター派の教会…

シンメトリーな美しい建物の作りは、ロケットや鳥の形によく似ている。

敷地内には、アメリカ大陸を発見した冒険家・レイブルエイリクソンの像が立っていた。

3人は、マイクロバスから降りたあと歩いて教会の建物へ向かっていた。

この時、私は途中で足を止めて冬空を見上げた。

青く澄み切った空に、白いひこうき雲が浮かんでいた。

私は、澄み切った青空に浮かぶひこうき雲をじっと見つめながらつぶやいた。

わぁー…

きれいだな…

澄み切った青空を見つめている私に、マァマが声をかけた。

「よーくん。」
「マァマ。」
「なあに?」
「きれいだね。」
「えっ?」
「澄み切った冬空《ふゆのあおぞら》に、白いひこうき雲が浮かんでいるよ。」
「そうね…きれいね。」

ゆかさんがマァマと私に声をかけた。

「ジナさん、ヨシタカさん…早く行きましょう…おとーちゃんたちが教会《チャペル》で待っているわよ。」
「ああ、ごめんなさい…よーくん、行こうか。」
「あっ、うん。」

私は、ゆかさんとマァマと一緒に教会《チャペル》ヘ向かった。

ところ変わって、チャペルにて…

チャペルは、華美な装飾でアレンジされたプロテスタント教会らしいチャペルである。

3人は、大番頭《おおばんと》はんと事務長《じむちょう》はんと宮出さんとケントさん夫妻と合流した。

大番頭《おおばんと》はんは、3人にやさしく呼びかけた。

「ああ、ご無事に到着しましたね。それでは早速始めまひょか。」

このあと、イワマツグループとイワマツ家の財産書の本名義に登録する手続きに入った。

手続きが終了したあと、メンバーたちは神父さんと一緒に教会の地下室へ向かった。

またところ変わって、教会の地下室にて…

神父さんは、金庫を解錠《かいじょう》したあと金庫の中に入っているファンシーボックスを取り出した。

イワマツの財産書《もくろく》は、ファンシーボックスの中に保管されていた。

神父さんは、ファンシーボックスのふたをていねいにあけた。

そして、財産書《もくろく》が入っている封書をていねいに取り出した。

神父さんは、取り出した封書をゆっくりと私に手渡した。

財産書《もくろく》を手にした私は、イワマツのオーナーとしての責任感と使命感を痛感した。

きょうから私は…

イワマツの当主になったのだ…

チャペルに再び戻ったメンバーたちは、神さまに感謝するミサを挙行した。

メンバーたちは、祭壇の前で聖書を開いてアイスランド語で聖書の一節をエイショウした。

聖書をエイショウしたあと、パイプオルガンの演奏に合わせて賛美歌を合唱した。

そして、その翌日…

イワマツを作るプロジェクトを始めるための準備が始まった。

時は、10月21日の午前11時頃であった。

ところ変わって、カナダ・プリンスエドワード島のクインズ地区北部にあるフレンチリバーにて…

現地に到着したメンバーたちは、市役所の職員さんと現地の建設会社のスタッフさんたちと一緒に広大な土地で住まいの建設工場に関する打ち合わせをしていた。

午後2時頃に、メンバーたちはキャベンディッシュの市役所ヘ行った。

市役所に到着したあと、私はイワマツの家の戸籍抄本《こせきしょうほん》を移す手続きと新しく購入したハンコセット(実印・認め印・銀行印)の印鑑登録《いんかんとうろく》の手続きを取った。

これで、私の本籍地はカナダのプリンスエドワード島に移った。

このあとも、プロジェクトを始めるための準備がたくさんあった。

ひとつは、アメリカ合衆国本土とイングランド地域とヨーロッパ西部地域とルーマニア・ハンガリー地域にある特大トランクルームに保管されている高価品の山を居住地の国と地域にある地下室タイプの特大倉庫に移し替えることである。

高価品の山は、このまま放置した場合、1996年頃に許容量を大きく超えるおそれがある。

そうなると、トランクルーム自体がイカれてしまう…

トランクルームの使用期限は、1996年10月31日である…

遅くとも、1996年9月1日の午前0時までの間に作業が開始できるように段取りを整えておく。

それと同時に、財産書《もくろく》に記載されている住まい・オフィスビル・工場・店舗・ラグジュアリーリゾート…の建物・ヤマイエン島に作る超特大豪邸の建設、トロンハイム(ノルウェー)の造船所に保管されている超特大豪華客船の建造工事・特大専用機と特大輸送ヘリなどの建造工事の打ち合わせをする…

他にもやるべきことは山のようにある…

せやけん、休みは一日もない…

私は、私の道をしっかりと歩いて行くと訣意《けつい》した…

あとにひくことは、できなくなった…

私の未来は、私自身で作るのだ!!
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