一期一会。−2−
「一人で大丈夫か?」

『へーき』

変装してる私は、無敵だ。

ふんっ、と力こぶを作る真似をしたら、由宇は「わかった」と真顔で頷く。

…何か、もっと反応くれよ。

なんて、思ってないからね。

拗ねてないもん。

一人でスベっただけです、はい。

「もうお帰りになるのですか?」

『ん』

しゅん、と明らかに寂しそうにする有功。

だがしかし、私は容赦なく『バイバイ』と言った。

有功≪寝たい。

ヒラリと、パーカーをはためかせて、駆け出す。

有功は、「御身をお厭い下さい!」と後ろから声をかけてきた。

その声を耳で拾って、夜の街を駆ける。

“響香”は、真面目だけど、良い奴そう。

『バイバイ』と再び口ずさんだ言葉は、人知れず夜闇へ溶け去った。

今宵は、出会いある不思議な時でした。



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