一期一会。−2−
じわじわと、俺の中に頼人は侵食していっていた。

何気ない日常のことを話す頼人の方を初めて振り返った。

ー『何で、そんな俺に関わんの』

俺は、古立組に引き取られて、ますます孤立していた。

喧嘩するし、口も悪いせいで、人は俺を無意識に避けていく。

それが、当たり前で。

慣れているつもりだった。

…俺といたって何もメリットねぇじゃん。

頼人は、俺なんかと仲良くしなくても、友達沢山いるくせに。

どうして、そんな笑って仲良くしようとすんの。

頼人は、俺が初めて反応したことに驚いてにっこり嬉しそうに笑った。

ー「決まってるじゃん、和と友達になりたいからだよ」

ー『…っ』

当たり前みたいに、言えることじゃない。

極道の俺と仲良くすることに、どれだけ、勇気がいることか。

それなのに、頼人は。

力強く、言い放ったんだ。

俺は、どうしようもなく嬉しくて、顔を歪めた。


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