一期一会。−2−
死んじゃったかと思った…。

もう一度、此処に戻ってこれたことが、心の底から嬉しかった。

じわ、と目の端に涙が滲んだけど。

それよりも、先に伝えたいことがあったから飲み込んだ。



『…皆、ありがとう』



ー…神様。

言いたかったこと、言わせてくれてありがとう。

皆のもとに、戻らせてくれて、ありがとう。

皆から返ってきたのは、「どういたしまして」と、笑顔だった。




診察後。

「彩羽っ!」 

ソウ君の声がしたのと同時に、バンッとドアが勢いよくスライドした。

そんなに焦らんでも逃げないのに…、なんて思いながらドアの方に顔を向けた。

…まぁ、それくらい急いできてくれたことは嬉しいんだけどね。

「…彩羽…、良かった…っ」

ドアの前で、突っ立っているのは、紛れもなくソウ君。
 

『…おはよ、お兄ちゃん』


目覚めて一番のとびきりの笑顔をあげるね。

意識を失う前、ソウ君めちゃくちゃ泣いてたけど。

…あーあ、また泣いちゃって。

私よりも涙腺もろいんじゃない?



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