一期一会。−2−

番外編【Case:黄鳥高校】

[頼人side]



「あ、和寝てる」


屋上でいつものように集まって昼食をとっていたある日のこと。

フェンスにもたれかかってスヤーと眠る和に、彩羽は目を輝かせていた。

ふぅん、人前で寝ない主義の和にしては珍しい。

疲れているのか、安心しているのか。

後者だったら良いな、と思う。

カクンと顔を下げて眠っている和の前にしゃがみ込んで、ジックリ眺める彩羽。

その手は、和の頬に触れたそうに出しては引っ込みを繰り返している。

その様子を見て、俺はハッとし、小声で止めた。


『和、寝起き悪いから近づかない方が安全だよ』


ほっぺ突きなんてして起こしたら大変だ。

和の寝起きは人一人殺りかねないほどに酷い。

俺も一度か二度、机に突っ伏して寝ている和を起こしたことがあったけれど…。

その時の寝ぼけた和の不機嫌さに思わず恐れをなしたものだ。


「そんなに??」


無防備に寝ている和を見つめ、不思議そうな顔をする彩羽。


『んー、まぁ…ね』


我ながら歯切れの悪い返事だと自覚していた。

何でかっていうと。

もしかしたら、彩羽になら和は怒らないのかも、なんて考えが過ぎったから。

いくら彩羽が喧嘩ができるとしても、きっと苛立ちを向けたりはしないだろう。

分かりにくいけど、和も彩羽のこと好きなんだもんね。




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