貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!


そして本当に,戻れなくなった。

神は神以外と子供をもうけたりなんてしたら,もう戻れない。

力は失い,神である事実すら失ってしまう。



『でも私,ほら。ずっと幸せなのよ』



譲れないように,私を見て困ったように。

妹は,笑った。



『兄ちゃん,格好いいんだもん。夫に誤解されちゃうわ。……死ぬまでの短い間に,逢えて良かった』



見た目では妹は,人間の25を過ぎていた。

あとほんの少しで,妹はこの世からいなくなる。

転生することもない。

そう知った私の衝撃は,言葉には出来ない。

戻った私のしばらくを知る物だけが,初めて想像できるもの。

そうして放心しているうちに,妹は死んだ。

寝て目覚めるような早さだった。

神の死は神へ伝わり。

妹の発見を黙っていたこと,手遅れだったことまでバレた後は,祭りへ妹を連れ出したこと。

つまりは神を失った責任について,私は裁判にかけられた。

お爺様の訴えもあり,私は無罪になったものの。



「結局は兄妹揃って滅びの運命」



それも悪くないと思っている自分がいるから,尚更。

私はきっと神に生まれるべきでは無かったのだ,と思う。

けれどいらなかったとは,とても思えない。
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