干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 部長は長い廊下を、ため息をつきながら歩いていた。

 手には、参加していた会議の資料が、くるくると丸められて握られている。

「毎度思うが、なんて発展性のない会議なんだ……」

 自然とため息の回数は増えていた。


 ――さすがに、この時間じゃ作業は終わってるよな。


 部長は、美琴達が作業している温室に向かおうかと足を止め、もう一度歩き出した。


「あ! 部長」

 部長がデスクに戻ると、怪訝(けげん)な顔をしたスタッフが近づいて来た。

「どうした?」

「実は、さっき朔人さんがここに来ていて……」

「ここに?!」

「はい。それで部長は会議だって声をかけたんですけど『もう用はすんだから』って出て行ったんです。なんでしょう……?」


 スタッフの話を聞き、部長は慌てて自分のデスクの上を確認する。

 他の書類に混ざって置いてある“卸問屋リスト”と、表題のついた資料を手に取った。


「まさか……見られたか」

 部長は額に手をやった後、チッと舌打ちを打った。
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