干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 美琴は、みんなの視線がいたたまれなくなり、思わず下を向く。


「私、知らなくて……。水上さんが、トータルの副社長だったこと……」


 ショックで張り裂けそうな胸をぎゅっと掴みながら、美琴は必死に言葉をつないだ。

 美琴の中のトータルに対する不信感と、雅也に対する印象はかけ離れ過ぎている。


 ――どうして……。どうして……?


 美琴は何も考えることができず、ただその言葉を頭の中で繰り返していた。


「美琴ちゃんごめんね。俺が悪いんだ」

 雅也は、そんな美琴の姿を優しく見つめた後、副社長に顔を向ける。


「俊介。彼女は何も知らない。俺がわざと言わなかったんだ。だから弁解する時間だけもらえないかな」

 雅也の言葉に副社長はじっと(くう)を見つめていた。


「わかった……」

 しばらくしてから副社長がつぶやくように言い、美琴の顔を見て真っ暗な瞳で頷いた。
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