干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 「ぷっ」と吹き出す声が聞こえ、美琴はそっと顔を上げた。

 副社長はもう前を向いて、ピンク色の頬で階数ランプが点滅するのを目で追っている。

 美琴はその後ろ姿を、耳まで真っ赤になった顔でじっと見上げた。


「この前……」

 副社長が前を向いたまま、ためらいがちな声を出した。

「え……?」

「この前、友野さんが雅也と二人でいるのを見た時……」

「はい……」

 ポンと音が鳴りエレベーターの扉が開く。


「正直、嫉妬しました……」

 副社長はそう言い残すと先にエレベーターを降りて行く。

「へ……?」

 美琴は一瞬放心状態になり、慌てて閉まりかけの扉をすり抜けてエレベーターを降りた。


 ――ず、ずるい……。


 美琴はバクバクする心臓をぎゅっと手で押さえながら、慌てて長い廊下を副社長の後を追って駆けだした。


 説明会のある会議室に入ると、すでに三社がテーブルについていた。

 美琴達も案内されたテーブルにつき、椅子へ腰かける。

 空席のテーブルはあと一つ。
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