干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 美琴はランチタイムに、社員食堂に向かっていた。

 入り口から少し入ったところで、誰かが自分を呼び止める大きな声が聞こえる。

 首を傾げながら振り返った美琴は、その姿を見て瞬時に身構えた。


「こんにちは! 友野美琴さんですよね」

 満面の笑みを見せながら近づいてきたのは、俊介の弟の朔人だった。


「な、何か御用ですか?」

 緊張した声を出す美琴に、朔人はころころと笑った。


「嫌だなぁ。そんな他人行儀で! もしかしたら僕のお義姉(ねえ)さんになるかも知れない人なのに」

「は?!」

「だってそうでしょ? 副社長の兄さんと()い仲なんですよね? ホントびっくりだなぁ」

 朔人の声は、まるでスピーカーにでものったかのように食堂内に響いた。


「ちょ、ちょっと変なこと言わないでください!」

 美琴はほかの社員の視線から逃げるように、朔人を連れて食堂の外に出た。
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