干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「手始めに何をするかなんですけど……」

 応接のソファには副社長と東、美琴と滝山がテーブルをはさみ、向かい合って座っている。


「お二人は何が得意ですか?」

「え?! 何って……」

 唐突な質問に、美琴と滝山は訳が分からず口ごもった。


「では、勝手な印象で決めさせてもらいます。友野さんは明日から僕と一緒に営業に、滝山くんは健太と一緒にリストや資料作成にあたって下さい」

「え、営業ですか?! しかも副社長も行くんですか?!」

 美琴はつい声を裏返らせて叫ぶ。


「そうです。このメンバーじゃ僕が動かないわけにはいかないでしょう?」

「は、はぁ……」

「営業と言っても、まずは既存の顧客を片っ端から当たるだけなので」

「え?! 片っ端から……」

「はい。何か問題でも?」

「いえ……別に……」


 美琴は机に広げられた、膨大な営業先リストに目を落とした。


 ――ここにもSっ気強めな人が一人……。


 美琴は若干の目眩を感じながら、白目をむいてため息をついた。
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