干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

はじめての営業

 次の日から、本格的に新プロジェクトの営業活動が始まった。


「とりあえず、今日はこのリストを、上から回って行きましょう」

「はい!」

 美琴は元気よく答え、ざっとリストに目を通した。

 ほとんどがレンタルで長年、取引をしているお得意様の企業ばかりだ。

 美琴が担当していた企業も、いくつかリストに名前があった。


「えっと、それで……。友野さんって外出時も、いつもそのスタイルなんですか?」

 リストを握りしめて、気合を入れる美琴を見て、副社長が困ったように頭をかく。

「はい?!」

「その、これ……」

 副社長は、ちょんちょんと自分の頭を指さした。


「え? あ! こ、これ?」

 美琴はその仕草を見て、ぎょっと慌てて自分のちょんまげを触る。


 そういえば気にしていなかったが、副社長室付になってからも、美琴と滝山は今まで通りメンテナンススタッフの制服を着ていた。

 そしてロッカーで着替える時には、ついいつもにクセで前髪を、ちょんまげにくくっていたのだ。
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