干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

いよいよドームへ

「さっすがドーム! 規模がハンパないっすね」

 瑠偉が、会場内で両手を伸ばし大きく手を振る。

 他のみんなもあんぐりと口を大きく開けて、果てしなく高い天井と周りにそびえる客席を見上げた。


「普段はここで野球やってるんっすもんね。俺リトルリーグ入ってたんっすよー。なんか感動だなぁ」

「え?! 内田くん野球やってたんだ。意外……」

「胡桃ちゃん。俺ってどういうイメージなの?」

 瑠偉と胡桃の会話を聞きながら、美琴も会場内をぐるりと見渡す。


 今日は出展する企業が一同に準備する日とあって、朝から会場内は大勢の人が集まっていた。

 大きな資材を搬入する業者もひっきりなしに動いている。


「あ、あそこがメインスペースですね」

 滝山が指さす会場の真ん中には、グリーンのシートで区切られた大きなスペースがあった。

「本当にど真ん中……」

 胡桃は若干緊張気味の声を出す。

 それを見て美琴は胡桃の肩に手を置いた。

「さぁ! 今日一日で完成させなきゃ。頑張ろう!」

 美琴はみんなの肩をぽんぽんと順に叩き、先頭をきってメインスペースに歩いていく。


「と、友野さん、張り切ってますね」

 滝山が部長に小さく声をかける。

 部長は何も答えずに頷くと、静かに美琴を見つめていた。
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