干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「え……」

 美琴は思わず両手で口を覆い、すでに潤みだしている瞳で手元を見つめる。

 俊介がゆっくりと箱を開くと、そこにはピンクゴールドに包まれるように一粒のダイヤが煌めく指輪が入っていた。


「あの日、美琴が味方になってくれた時から、僕は一人じゃなくなった。美琴が味方でいてくれたから、僕は強くなれたんです。もう一度、ちゃんと言わせて」

 俊介は美琴の手の平に指輪の入った箱をのせると、両手で包み込むようにぎゅっと握る。


「僕と結婚してください」


 その瞬間、美琴の頬を次から次に温かい涙がこぼれ落ちた。

 美琴はそのままゆっくりと、俊介の優しい瞳を見つめ返す。


「はい。私はこれから先もずっと、あなたの味方です」


 俊介はぱっと笑顔になると、美琴の左手を取りそっと指輪をはめた。

 美琴はその手を持ち上げ、キラキラと星の様に輝く指輪を夜空にかざす。

「きれい……」


 俊介はゆっくりと美琴を立ち上がらせると、その身体を優しく抱き上げた。

 オレンジ色のランプが揺れるテントの頭上では、満天の星が二人を静かに包んでくれた。
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