干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「さすがですね。副社長……」

 美琴はエントランスにカメラを向けながら、そっと横を見る。

「まあ、友野さんは少し強引すぎますね」

 副社長は、ちらっと美琴を横目でにらんだ。

「す、すみません……」

 美琴は顔を青ざめさせて、背筋をぴんと伸ばした。


「ぷっ」


 しばらくすると、副社長は思い出し笑いでもするかのように吹き出した後、あははと笑い声をあげていた。


「え……」

 美琴はキョトンとする。


「嘘ですよ。あの嫌みのない強引さが、友野さんの魅力なんでしょう」


 副社長から“魅力”なんて言葉を言われ、美琴は耳まで真っ赤になりながら下を向いた。


 ――……やっぱり、副社長ってすごい人なのかな。


 美琴は、いろいろな角度から写真を撮っている副社長を、ちらっと見る。


 笹野課長はあの後、副社長の話に大いに納得し、その場で上司を説得してくれた。

 そして美琴達は、無事に最初の仕事を取り付けたのだ。
< 47 / 435 >

この作品をシェア

pagetop