干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「じゃあ、僕はこれで」

 朔人は副社長から目線を外すと、にっこりと笑った。

 そして再び深く頭を下げると、くるっと背中を向ける。


 美琴は少しの間、振り返って朔人の後ろ姿を見ていた。


「少し、イメージが違ったんですけど……」

 美琴は先を進む副社長達に気がつき、慌てて駆け足で追いかける。

「権力にしか興味ないって、言ってませんでしたっけ?」

 美琴は小声で話しかけたが、副社長は前を向いたまま何も答えない。

「……人は見かけによらないのよ」

 東が独り言のようにつぶやいた。



 ゆっくりと廊下を歩いていた朔人は、急にぴたりと足を止める。

 そして振り返り、美琴達が温室に入って行くのを確認した。

「ふーん。あれがプロジェクトのメンバーかぁ」


 朔人は、後ろのポケットに入っているスマートフォンをひょいと取り出し、耳に当てる。

「あ、もしもし。僕です。今ちょっと良いですか?」
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