干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
「副社長は、何か裏があるんじゃないかって、どうも疑っているようでして……。『プロジェクトは手詰まりになるから、トータルへの対策を練る』なんて話が、出始めています」

「なに……?!」

 専務は顔色が変わり、軽く腰を浮かせた。


「副社長に変に社内で色々と動かれるより、とりあえずプロジェクトはこのまま泳がせた方が良いんじゃないでしょうか? 新規事業が軌道に乗れば、それはそれで我々としても、しめたものですし」

「ふむ……」


「まぁ……頭は、いつでも変えられますから」

 部長は片方の口角だけあげてほほ笑むと、専務の耳元でささやいた。


「うむ、わかった。プロジェクトに関しては、しばらく様子を見よう。またトータルの件については、こちらで調べることにする。相馬くん。君もこの件については、しばらく黙っているように」

「はい。かしこまりました」

 部長は深々と頭を下げると、専務室の扉をそっと閉めた。
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