干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

恋のしかた

「美琴ちゃん。ありがとうね」

 温室に向かう廊下で、東が美琴に声をかけた。


「へ? 私は、勢いで飛び出しただけで、何も……」

「ううん。美琴ちゃんのおかげだよ。俺だったら、あんな風に立ち向かっていけない」

「また『強引すぎる』って、言われちゃいそうですけど!」

 美琴は、あははとおどけて見せる。


「でも本当に、プロジェクトに二人が来て、俊介は変わったと思うよ。今まではずっと一人だったからね」

 東は、少し寂しそうに下を向いた。


「東さんがいるじゃないですか」

「俺? 俺は昔からの知り合いだし、また別なんだと思う」

 普段は軽いノリで話す東が、いつになく真剣な表情をしていた。


 ――東さんはムードメーカーを演じつつ、副社長のことを見守ってるのかな。

 美琴はその横顔を、そっと見つめた。
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