干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~
 美琴は副社長を手招きして、みんなの前へ連れて行く。

「なんですか?」

 不思議そうな顔をする副社長の前に、美琴が片手を伸ばした。

 その伸ばした手に東が手をのせ、その上に滝山が手を重ねる。


「ほら! 副社長も」

 美琴はドキドキしながら、そっと副社長の手を取り上に重ねた。

 副社長は目を丸くした後、照れたような顔を見せる。


「ちょっと! 部長! なにぼーっとしてんですか」

 美琴はわざと部長に大きな声を出した。

「え?! 俺も? 一応まだ外では専務派なんだけど……」

「馬鹿なこと言ってんじゃないですよ! 覚悟決めてください」

 美琴の剣幕に押されて、部長もしぶしぶ立ち上がり手を重ねた。


「俺の出世の道が……」

「ま、まだ言ってる……」

 珍しく突っ込んだ滝山に部長はぎょっとし、美琴達は大笑いした。


「プロジェクトの第一歩を祝して!」

「ファイトー!」

「オー!」


 まるで子供の様に、はしゃいだ五人の手のひらは、ひらりと天井高くに舞い上がった。
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