あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

「愛香里ちゃんの事は、亡くなったお父さんから頼まれているから」
「え? 父に? 」
「私は愛香里ちゃんのお父さん、颯太さんとは学生時代からの親友で。色々と相談に乗っていたんだ。自分に何かあった時は、娘を頼むと言われていたから」
「じゃあ、初めから知っていたのですか? 自分の事」
「そうゆう事になるね。だから、危険な事はさせたくなかっただけだよ」

 愛香里は納得した。
 奏弥が自分の傍に愛香里を置きたがっていた事。
 幸樹に反抗して帰らないと言った時に、奏弥が家に呼んだのもそうゆう事だったのかと…。

「城原さんも共通の友達だから。愛香里ちゃんが、家に戻りたくないなら好きにしていいって言っていたから安心して」

 
 どうしたら良いのか…それは愛香里にはまだ答えが見つかていなかった。

 

 暫く宗田家にいる事にした愛香里。
 聖龍も一緒に実家に戻り暮らす事にした。
 そろそろ戻って来てほしいと凜が言っていた事もあり、いい機会だからと言っていた。


 とりあえず今夜はゆっくり休む事にした。 
 取り調べで署に泊まっていたとはいえ、ゆっくり休むことが出来なかった愛香里。

 こんなに眠いって感じた事、今まであったかな?
 全てが終わったから安心しているのかな?

 
 そのまま朝までぐっすり眠った愛香里。

 スッキリと目覚めた愛香里に、美味しい朝食が用意されていた。
 シンプルな和食であるが、どれも新鮮でおいしそうに見えたが、実際に食べてみると何となく気分が悪く感じた愛香里。

 疲れが溜まていて食欲がないだけかもしれない。
 そう思いながらゆっくり朝食を済ませた愛香里。


 朝食が済むと、愛香里は颯太とヒカルのお墓参りに行く事にした。


 
 
金奈市の片隅にある静かな霊園。
 緑の木々に囲まれて、小高い丘の上からは海が見える。

 神原家のお墓は霊園の中でも、小高い丘の上にたっている。
 白い墓石に「神原家の墓」と掘ってあり、墓石の横には亡くなったヒカルと颯太の名前も書かれている。


 シックな黒いスーツに身を包んだ愛香里が、そっとお墓に向かって手を合わせた。
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