あなたがいるだけで…失われた命と受け継がれた想いを受け止めて…

 ガシッ!
 ヒカルにナイフが触れる寸前、スルっと交わされ男は腕を掴まれてた。

 掴まれた腕を振りほどこうとする男だが、強く握られているのか振りほどくことが出来なかった。

「あなたの彼女とは、どなたの事を仰られているのでしょうか? 是非、お名前を教えて頂けませんか? 」
「なに? 」
「自分には全く心当たりがございません。どなたかと、勘違いされているのかとも思いましたが。自分の名前を言われましたので、標的は間違っていないのかと思います」

 グイッ! と、男の腕を回してねじり上げたヒカル。

「ッ…は、離せ! 」

 痛みに表情を歪めた男を、ヒカルは眼鏡の奥でほくそ笑んだ。

「どなたなのか、教えて頂けませんか? 貴方に、こんな事を命じた方はどなたなのか」

 ギューッと腕をひねり上げられ、男はかなり痛そうな表情になってきた。

「っ…て、てめーら! なにをボケッと見ている! さっさとやれ! 」

 男は苦痛な表情のまま囲んでいた男達に命じた。

 囲んでいた男達は、一斉に動き出しヒカルに向かって襲いかかってきた。

「…まったく、お行儀が悪い人達ですね…」

 ガツン! と、ひねり上げていた男に喝をいれ、気絶させたヒカルは襲ってきた男達を見た。

「コノヤロー! 」
「死ね! 」

 捨て台詞のような言葉を吐きながら、襲ってくる男達をひょいと飛び上がりかわしてしまったヒカル。

「な、なんだ? 」

 交わされた男達は驚いてヒカルを見ていた。

「そのお行儀の悪さは、徹底して直して頂かないと困りますね」

 ニコッと笑ったヒカルは、そっとメガネを外した。

「このまま引き下がって頂ければ、何もなかった事にして差し上げますよ」

「なんだと? 」
「こいつ、俺達をなめてんのか? 」
「やっちまおうぜ! 」

 わ~っと言いながら男達はヒカルに向かって拳を構えて襲い掛かってきた!

「仕方ないですね」
 
 襲い掛かってきた男達だが、ひょいとヒカルに交わされてしまった。
 交わされるとよけいにムキになり、殴りかかって来る男達を、ヒカルは次々と交わしてしまい、男達の腕を一人一人捕まえて背負い投げをして地面に叩きつけて行った!

「グッ…てめー! なめやがって! 」
 地面に叩きつけられた一人の男が、逆上して懐からナイフを取り出した。
「死ね! 」

 逆上した目つきで、ナイフ突きつけてヒカルに襲い掛かる男!
 
 だが直撃する寸前に、交わされてしまいナイフを持っている手首をガツン! と叩かれ、痛みでナイフを落としていしまった。
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