夜這いのくまさん
「君の父親が…娘を攫ってくれといった。斧をもっていて、きっと君を助け出すつもりだったんだと思った。俺は取り返しのつかないことをしたが、娘も同じようになってほしくない…幸せになってほしいって…」

どうしようもない父だった。アーレットの話を聞いて、怒りがとまらなかった。
だけれど、結婚式のあの表情は葛藤していたのだ。村の風習と自分の犯した罪について。
不器用な父親だった。

「シェリー大事にする、約束する」

ー----俺に頂戴。

その大きな背中に必死にしがみついた。
鈍い痛みと心地よい波がゆらゆらと押したり引いたりを繰り返す。
目を閉じて、全身でその感覚を感じて酔いしれた。

村を離れても、その火事は大きなニュースとして取り上げられた。
死者は0人ということでアーレットは生き延びたらしい。少しホッとした。
村の女性が伝統を廃止するように、今、自治体に訴えているらしい。

何人かは村で自殺者がでていたこと、心を病んでしまうものなどが多かったことを踏まえて事実上その風習は禁止された。シャーレイからその話をきいて心から喜んだ。またシャーレイがこちらの官舎に遊びにくると、手紙に書いてあってシェリーは喜んだ。

「キースのおかげ」

「ん?」

ベッドの中で抱きしめられるのが好きだ。すっぽり腕に包まれて温かい。
夫の腕に包まれて眠るだけでこんだけ幸せを感じれる日が来るとは思わなかった。

「くまさんのおかげ」

「あ、…こら」

その大きな胸板にキスをして、そのおおきなくまさんに襲われる。
夜這いを待つなら、先に奇襲。すぐに唇に優しく噛みついてくるのを、満足げに受け入れた。
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