BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに
 ヘレナと会ったらあんな話やこんな話をしようと思っているジーニアにとって、魂が救われるような一言であった。

 そしてクラレンスが約束を守ってくれたことを知ったのは、それから三日後だった。本当にヘレナが遊びに来てくれたのだ、この部屋に。

「ジーン……」
 シリルに連れられて部屋へとやってきたヘレナは泣きそうになるほど顔を歪ませていた。
 感動の再会を邪魔していけないと思ったのか、シリルは「後でお迎えにあがります」という一言だけ残して、さっさと部屋から出て行ったのだが、ヘレナが泣きそうになっているのはジーニアと再会ができたから、ではないことにジーニアだって気付いている。

「し、し、し、シリル様が。シリル様が。私のお迎えにきてくださったのよ。あのシリル様よ。クラシリのシリル様よ」

「うん、予想通りの反応をありがとう。ヘレナ」

「だって、だって、だって。シリル様よ?」

「まあまあ、落ち着いて。あ、お茶でも飲まない?」

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