BでLなゲームに転生したモブ令嬢のはずなのに

2.

 医師からは、とうとう王宮魔導士に診てもらうように、と言われてしまった。というのも、ここにきて傷口が良くなるのではなく、その周辺の皮膚の色が黒く変わってきたからだ。
 医師とクラレンスとシリルに見られてしまったこの傷口。顎に手を当てたシリルが口にする。
「これは、呪詛ですね。以前、読んだ本に、これに似た症例が書かれていました」

「となれば、王宮魔導士の出番だな」
 クラレンスの言葉にシリルは「はい」と頷く。医師は「力になれず申し訳ありません」と頭を下げていたが、あの段階では普通の傷か呪詛によるものかの見分けはつかない、というのがシリルの言葉だった。普通の傷に見せかけて、じわりじわりと身体を蝕んでいく。それがこの呪詛の特徴らしい。

「ですが、三月(みつき)近くもこの呪詛を受けて、これだけの症状で済んでいるということが、あの文献と異なっております」

「気休め程度にしかなりませんが、痛み止めの薬を出しておきます」
 医師は申し訳なさそうに、薬だけ置いていくと部屋を出て行った。
 寝台の上に座っているジーニアを、クラレンスとシリルはじっと見つめている。少し乱れたドレスを直しながら、ジーニアはその視線に耐えた。のだが、目の前にはクラレンスとシリル。クラシリ。そろそろ妄想が爆発しそうな頃合い。

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